オフショア開発とは、システム開発業務を、海外の企業、現地法人などに委託する業務です。主な目的は、経済的な格差によって生じるコストメリットになります。発注側としては、人件費のコスト削減、豊富な労働力を確保が可能です。

開発工程や、テストの実施といった工程を委託することで、現地の安い人件費によるコスト削減を実現し、豊富なIT人材を必要なタイミングで確保ができます。

 

オフショア開発での問題点


オフショア開発をするにあたり、人件費、人材の確保は実現できても、オフショア開発としての問題点もあります。

①言葉の問題


基本的に、日本語が流暢に話せ、また、ITスキルも同様に高い人材は、日本国内にすでに就労ビザ、もしくは、永住権を取得して確保されてしまっているのが一般的です。そのため、ITスキルが高いけれど、日本語が十分に理解できず、意思疎通が密に行うことが難しい場合が多いことがあります。

日本語を、母国語とする国は、日本以外にはありません。そのため、日本と比較して人件費が安い国の開発者のほとんどが、日本語はわからないのが一般的です。

日本人が指示する仕様書を、現地の言葉に翻訳して開発者に伝える役割の人が必要になります。そのため、一般的には、オフショア開発では、BSE (ブリッジ・エンジニア) 、または、コミュニケーターのリソースを確保する必要があります。

デメリットになるコミュニケーションコストに、日本国内の開発者より下がる費用を、逆に、BSE、または、コミュニケーターのリソースに割り振る必要があります。

そのため、オフショア開発で失敗する例としては、BSEの配置を行わなかったり、コミュニケーションコストにかかる工数を減らすことで、必要以上のコスト削減を行い過ぎることにより、プロジェクトの破綻、または、プロダクトが異なるものになる可能性が非常に高くなります。 

全体にかかる開発費用金額で、コストの比較をする必要があります。

コストメリットは、どのような開発体制を持つか、また、開発規模やリソース配分に大きく左右されますが、案件の規模が大きいほど、コストメリットは大きくなることになります。

②距離・時差の問題

オフショア開発先の人材と直接会う機会が少なく、時差の問題もあり、十分にコミュニケーションがとりにくい。

しかし、近年IT技術は、ソフトウェア、および、インフラを含めグローバルに進化しており、音声チャット、動画会議、画面共有、ファイル共有等の各ソフトウェアを上手に利用することにより、解決ができるようになりました。
日本国内にいるニアショア開発(日本の地方都市など近距離での外注)と同じようにやり取りが可能になっています。

時差については、ベトナムの場合は、日本時間のマイナス2時間(2時間前)になります。
ただ、オフショア会社側も、日本市場を意識しており、基本的に日本向けのオフショア会社については、日本時間午前10時~午後19時の時間帯対応のオフショア会社が最近は多いようです。

③文化の問題

習慣、ビジネス習慣、各種取り組みの祖語が生じやすくなる。

「仕様が多少不明確であっても、相手が気を利かせて対応する」ということは、 オフショア開発では、 初期取引段階では、特に期待できない場合が、多く発生します。
オフショア開発の場合は、暗黙の了解は、ほぼ期待ができないと認識しておく必要があります。
仕様書の行間を読むことは、自社開発や、または、長く取引のある発注先であれば、仕様書に書かれていない意図をくみ取って読み解くことは可能かもしれませんが、それはあくまで、日本国内での「仕様書の行間を読むことは、当たり前の常識だろう」 という日本のビジネス習慣であると肝に銘じておく必要があります。海外では、契約書が絶対的な存在であり、「仕様に明確に書かれてはいないが、それは常識の範囲だ」ということは、通用しないということになります。
仕様書に明確には記載がないが、それは常識だろうということで、 トラブルになるケースが多く発生するということを強く認識しておく必要が
あります。

「仕様書に書かれていないことは実装しない」
「わかりにくい仕様書、または、ある程度、あいまいな状態の仕様書からは、それなりのレベルのものしか開発できない」ということを、認識しておく必要があります。

そのため、クルージジャパン株式会社では、オフショア開発での問題点を改善


お客様とのやり取りをすべて⼀括管理をすること。

(直接、現地メンバーとのやり取りは、お客様のご要望がないかぎり、基本的には、直接、お客様がする必要がないようにすること。)

オフショア開発で、大前提となる必要な「仕様を明確化」すること。

受け入れテストを最終段階でするのではなく、受け入れテストの項目は、
その時の状況、リスクを考えながら、早い段階で、バグの検出を行い修正をすること。

などを、実施することにより、オフショア開発での問題点を改善、解決しています。


オフショア開発でのメリットが出るパターン①


プロジェクト 9人月(開発期間3ヶ月)

国内開発会社に発注すると、合計960万円
オフショア開発に発注すると、合計750万円

プロジェクトの規模が大きいほど、全体費用が抑えられることがわかります。
ただ、PM、BSEが必要ないという場合、さらに費用は下がりますが、
コミュニケーショントラブル等のリスクが高くなります。

国内開発会社
ディレクター/PM 80万円
開発者① 80万円
開発者② 80万円
開発者③ 80万円
合計 960万円

 

オフショア開発
日本人ディレクター/PM 80万円
BSE 45万円
開発者① 40万円
開発者② 40万円
開発者③ 40万円
合計 750万円

 

オフショア開発でのメリットが出るパターン②


プロジェクト 3人月(開発期間1ヶ月)

国内開発会社に発注すると、合計320万円
オフショア開発に発注すると、合計250万円

プロジェクトの規模により、全体費用が抑えられるコストメリットが変化することがわかります。
ただ、PM、BSEが必要ないという場合、さらに費用は下がりますが、コミュニケーショントラブル等のリスクが高くなります。

国内開発会社
ディレクター/PM 80万円
開発者① 80万円
開発者② 80万円
開発者③ 80万円
合計 320万円

 

オフショア開発
日本人ディレクター/PM 80万円
BSE 45万円
開発者① 40万円
開発者② 40万円
開発者③ 40万円
合計 250万円

 

オフショア開発でのデメリットが出るパターン①


プロジェクト 1人月(開発期間1ヶ月)

国内開発会社に発注すると、合計80万円
オフショア開発に発注すると、合計85万


ほとんどコストメリットが変わらない状態になります。
費用以外でもコミュニケーションコストを考慮すると、この場合は、国内に発注をした方のがよいことになります。

 

国内開発会社
開発者① 80万円
合計 80万円

 

オフショア開発
BSE 45万円
開発者① 40万円
合計 85万円

 

オフショア開発で絶対やってはいけないこと


コストメリットを大きく出すために、「PM、BSEまたはコミュニケーターを削減して費用を抑える。」を行うと、いままでご説明したように、費用を抑えるべきでない部分の役割を減らすことにより、プロジェクトの破綻、失敗に大きくかかわってくることになります。

できれば、必要なリソースはなるべく削減しないことがベストということになります。